白いジャージ5 ~先生とラベンダー畑~



電話が鳴った。





「もしもし」



『直?俺だけど…… 家に向かってる途中なんだけど、道が混んでて…… 全然動かねぇんだ。花火のせいだな。どこかに車停めて、電車で帰るわ』




そうか。



毎年花火の日は車が渋滞していたっけ。




「大丈夫だよ!!車で帰って来て。遅れてもいいから」



『でも…… まだまだかかりそう。始まっちゃうだろ?』




先生は優しい。


先生は女心をわかってくれる。


もうそれだけで十分だよ。





「大丈夫だよ!!少しでもいいから。急がないでゆっくり帰って来て」





だって、最後じゃないもん。



来年も再来年も、ず~っと先も……




私と先生は夫婦だもん。



花火をたくさん見ることができる。







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