白いジャージ5 ~先生とラベンダー畑~
先生は立ち止まって、私の前に立つ。
私の肩に両手をそえて、顔を覗き込む。
ものすごく、優しい顔で。
大好きな、包み込むような笑顔で。
「もしかして…… 直、赤ちゃんできたんじゃない??」
驚いた、なんてもんじゃなかった。
びっくりしてびっくりして、声も出ない。
自分の体のことなのに、まったくそんなこと考えていなかった。
北海道で子供作ろうかって話していたのに、心のどこかでそんなにすぐにできないだろうと思っていた。
「本当に?」
私は、先生の顔を見つめ返した。
「わかんねぇけど。可能性はあるだろ?最近、のどが渇くって言ってたのも、もしかして。さっき気分悪くなった感じって、ドラマでよく見るつわりっぽくない?」
そう言われてみれば、ここ数日、少し体調がおかしかった。
暑さのせいで夏バテかなって思っていたけど……
今日もオレンジジュースばかり飲んでいたっけ。
「そうなのかな。できたのかな!!私と先生の赤ちゃん!!」
嬉しくて、飛び跳ねた私を先生が抱きしめる。
「こ~ら!安静にしとかないとな」