白いジャージ5 ~先生とラベンダー畑~



先生は浴衣に手を入れて、何かを取り出した。




「花火大会に間に合わなかったから…… ふたりでやろうかなって」





先生が手に持っていたのは、コンビニで買った線香花火セットだった。


帰り道に、買ってくれたんだって。





「嬉しい!!線香花火、大好きなんだぁ」



一緒にコンビニで買ってきてくれたライターで火をつける。



「3人かもしれないからな」



先生はそう言いながら、両手に線香花火を持った。



線香花火を見て、


先生を見て……



また線香花火を見て。





「綺麗だね」


「直が?」



またこんなことを言う先生。





揺れないようにしっかりと線香花火を持つ。



最後の瞬間まで必死で輝こうとする線香花火を見ていると、命のようだと思った。





もしも、私のお腹に命が宿っているのなら、この命を大切に大切に守っていきたい。




私と先生の大事な子供。











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