白いジャージ5 ~先生とラベンダー畑~
「てか、まじでむなしいっす。俺……」
要君は、要君らしくない情けない顔をして、ため息をついた。みんなはそんな要君を見て、笑った。
要君は、かっこよくて、しっかり者で、優しくて、どこから見てもイイ男。
でも、私は好きにならなかった。
私はもう先生のことしか好きになれない。
こんな素敵な男の子をフッてしまったんだよね、私。
「誰かナンパしてこようかな」
要君は、またそんなことを言ってみんなを笑わせた。
「テルは結局無理だよ。そんな勇気ないもん」
あゆみは、真崎君の肩に頭を乗せながら、冷たく言った。
それは、みんながわかっていること。
知ってるよ。要君は、彼女と別れてから、何度か女の子から誘われてるんだ。
学校の女の子からも告白されたって話も聞いたし。
要君は誠実で、純粋なんだ。
自分が好きになれそうにない相手と付き合ったりはしない。
思わせブリ男だけど、それは無意識にしていることだもんね。
誰かを騙したり、裏切ったりはできない人。