白いジャージ5 ~先生とラベンダー畑~
「デザート食べたいよね」
あゆみがメニューを見ながらそう言うと、要君は北海道の観光雑誌を鞄から取り出した。
「この近くに夜中まで開いてるカフェバーがあるんだよ」
あゆみと桃子が、要君の周りに近づいた。
「うわぁ!すごい!こんなに大きなパフェがあるの?」
「このティラミス食べたい!!」
はしゃぐあゆみと桃子の隣で、私は落ち着かない気持ちで座っていた。
先生も、美穂とタカを見て、心配そうにしていた。
先生は、タカにどんなアドバイスをしたんだろう。
先生がこの部屋に戻ってきてから、一度も目が合ってない。
そんなことたいしたことじゃないのに、今の私にとっては、そのことがとても寂しく感じられた。
なんだか、私……おかしいよ。
どうしてだろう。
涙が出そう。
悲しいわけじゃないのに……
別に不安になることないのに……
どうしても、今……
先生とふたりきりになりたいって思った。
誰もいない場所で、先生に抱きしめて欲しいって思ったんだ。