彼氏
「結衣。」


吏玖は私を抱き寄せて、肩に顔を乗せた。


人通りが少ないって言っても、普段吏玖は外で私を抱きしめたりすることは少ない。


私が恥ずかしがるのを知ってるから。


なのに今日はいつもと違って、私が恥ずかしいって言っても離そうとはしてくれない。



「結衣。俺、まじで結衣と一緒にいれて幸せ。」


「私も幸せだよ。ってか、吏玖、急にどうしたの?」



「17歳になって、ちょっとだけ結衣と同じ年だし。このまま結衣も17歳のままでいてくれたら、もっと幸せなんだけどな。」

吏玖の抱きしめる力が強くなった。


「何?本当にどうしたの?何かあった?」


「…何かさ、最近すごく年下って嫌だなって感じてさ。…もう少ししたら結衣卒業だし。大阪の大学行くし。俺だけ置いていかれる感じしてさ。」

吏玖も不安になってるんだ…私と一緒だ。


「…私だって吏玖と同じ学年だったらって、いつも考えちゃうよ。卒業したら、なかなか会えないし…私のこと好きじゃなくなったらどうしようって考えてしまったり。」


「俺は結衣を好きでいる自信ある。けど、大学ってかなり誘惑多そうだしさ。何か、最近周りに色々言われてちょっと弱気になってた。」

吏玖はそう言うと私の顔を見て、
「離れても、ずっと一緒だからな。」
と真面目な顔で言った。
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