下心と、青春と


「だって、梨太郎くんと付き合ってるんでしょ?」


「あ、あぁ……それね……」


この際だ、本当のことを言ってしまおうと思った瞬間、アイツからのメールを思い出した。


『家に帰るまでが偽装!』


こんな時まで入ってきやがって!


一日でどんだけ洗脳されてるんだ私!


確かに、アイツはカッコいいよ!


でも、それだけだっての!


「違うの?」


「…………いや、付き合ってる」


あー……言っちゃったよ。言っちゃいましたよ。


「だったらさ、『好き』ってなんだか分かるでしょ?」


「ええと……千代吉くんが何を聞こうとしてるのか分からないんだけど」



< 33 / 81 >

この作品をシェア

pagetop