下心と、青春と
「だって、梨太郎くんと付き合ってるんでしょ?」
「あ、あぁ……それね……」
この際だ、本当のことを言ってしまおうと思った瞬間、アイツからのメールを思い出した。
『家に帰るまでが偽装!』
こんな時まで入ってきやがって!
一日でどんだけ洗脳されてるんだ私!
確かに、アイツはカッコいいよ!
でも、それだけだっての!
「違うの?」
「…………いや、付き合ってる」
あー……言っちゃったよ。言っちゃいましたよ。
「だったらさ、『好き』ってなんだか分かるでしょ?」
「ええと……千代吉くんが何を聞こうとしてるのか分からないんだけど」