下心と、青春と
何か欲しいの?
いや、そういう風には見えない。
私が立ち上がるのを手伝うって言ってんのかな?
いや、私自分で立ち上がれるし。
……てことは、手を、繋ぐ、的な?
「早くしないと遅刻するぞ。昨日午後の授業サボったろ。アンタ」
「……そういえばそうだった」
私が教材片手に自分で立ち上がろうとすると、グッと引っ張られた。
今、私は剣之助くんに手を握られている。
気付いた瞬間、私の顔から火が出た。
急いで離れようとしたけど、強く握られていて離れられない。
結局、そのままの状態で理科室に行ったのだった。
剣之助くんは、席につくまで手を放してくれなかった。