下心と、青春と
THE 神出鬼没
「泣いちゃうよ私。乙女っぽく泣いちゃうよ」
ちょっと涙が出そうになった瞬間、後ろから声をかけられた。
「乙女は自分のこと乙女って言わねえよー」
「……!何奴!」
バッと後ろを見ると、宇佐見くんがいた。
「なんでいっつもいきなり出て来るんだ!」
「さぁ?」
「このTHE 神出鬼没!」
「そんなあだ名つけられたの初めてだぞ」
そう言って宇佐見くんは一つあくびをして、私の隣の席に座った。
「他にそういうあだ名つけてんの?」
「あー……梨太郎」
「何てあだ名だよ」
「THE 自分勝手」
「ちょ、ピッタリじゃんかー!」