下心と、青春と


というか、なんで剣之助くんの傘なのに私が持ってるんだろう。


それに、私と剣之助くんの身長差は、20cmほどある。


相合い傘(自分で言ってて恥ずかしい)って、背が高い方が持った方がいいんじゃないだろうか。


私は、剣之助くんがぬれないように必死になっていた。


そうしていたら、私の肩がぬれてきた。


いや、この際それくらい気にしない。


だって、剣之助くんがいなかったら、私はずぶぬれになっていたはずなのだから。


しかし、剣之助くんは私がぬれているのに気付いてしまったようだ。


「傘、持つ」


「別に私は大丈……」


「いいから」


剣之助くんは私からもぎ取るようにして傘を持った。


それから、私の肩はぬれなくなった。


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