下心と、青春と
「別に、そういうわけじゃないぞ」
「……そ、そうなの?」
「オレはこれから予備校に行くから。ただ予備校がこっちだっただけだ」
「……あ、そ、そうだよね。なんか勘違いしてた。ゴメン」
「いや別に」
「……」
「……」
沈黙が続く。
そういえば、最近私の家の近くに予備校が出来てたような気がする。
いやそれより、とんでもなく恥ずかしい勘違いをしていた自分がイタすぎるのだが。
ああ、穴があったら入りたいとはこういうことなのか。
「アンタん家、どっちだ」
「あ、こっち」
そう私が指差すと、剣之助くんは迷わずそっちに行った。