下心と、青春と
「言っとくけど、ここで一人暮らししてんだからね」
「……そうか」
やっと納得したように彼は言った。
「それじゃ、予備校頑張ってね」
「おう。アンタもなんか……こう……頑張れよ」
「おう」
私は、剣之助くんに手をふって部屋に入った。
部屋に入った瞬間、さっきまでの緊張がなくなり、へたりと座り込んでしまった。
「やばい……剣之助くんと相合い傘しちゃった……」
さっきまでセンチメンタルな気分だったのに、すぐに直ってしまった。
それが私という人間だ。
自分もまだまだ捨てたもんじゃないなと思った瞬間だった。