下心と、青春と
【第三章】
虫は無視
「あー!いい朝だ!」
一人で清々しく学校に行く。
今日は昨日と違って一人だと分かってたから、全然平気なのだ。
るんるん気分で歩いていると、10m先に梨太郎が見えた。
「……まじか」
「おはよう!柚葉!」
「……はよ」
梨太郎は、自分の中で一番素敵な笑顔で私を呼んだ。
本性を知っている私にとっては気持ち悪い笑顔以外の何ものでもないんですけど。
周りにいたおばさま達はキャーキャーと騒いでいる。
「昨日はごめんな?急に熱が出てさ……」
「それはようござんした」
「ちょっと、先行かないでよ!せっかく待ってたのに。柚葉ったら怒ってるの?」
梨太郎が私の肩をつかむ。