冬恋物語-Winter love-
・今宵幸せを君に
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「…ってわけなの、ねぇお願い。彼氏役やってくれない?」
隣の席の赤坂乃絵留は、
俺に彼氏役をやってほしいと頼みこんできた。
「彼氏役ねぇ……。別にいいけど」
好きなやつに彼氏役を頼まれるなんて、皮肉な話だ。
俺を恋愛対象として見てないことは明らかにわかる。
「本当にっ?」
「あぁ」
赤坂が3年のサンタっていうやつとクリスマスを過ごしているのは
前から知っていた。
去年のクリスマス、街の大きなクリスマスツリーの前で寄り添っている2人を見たのだ。
てっきり付き合っているのだと思っていた。
が、違うらしい。