冬恋物語-Winter love-
図書委員に立候補したのも、
黒河君が立候補していたから。
「黒河君、何しとるん?」
「見ればわかるやろ」
黒河君は私を見向きもせず、小説を読んでいる。
「……仕事してよ」
「後でやる」
いつもこんな感じで、仕事はほとんど私に回される。
本棚に適当に本を並べながらふと窓の方を見ると、
見事に外は真っ暗だった。
図書室の柱に掛かっている時計を見ると、
時刻は6時になりかけている。
「なぁ、そろそろ帰ろ」
小説から目を離さなかった黒河君は、
私の言葉で小説をパタンと閉じた。
「あぁ」