冬恋物語-Winter love-

・Sweetな後輩





□■□■


「別れよ」




臨(りん)にそう言ったのは、たしか1ヶ月くらい前のこと。


臨は1つ年下の後輩で、男のくせに私よりはるかに可愛い。


それはもう、比べものにならないくらい。


黒目がちなぱっちり二重の大きな目に、びっくりするくらい長いまつげ。


丸くて小さな鼻に、小さな顔。


どこを取っても私より女の子らしい。


私が勝てるところといえば……


年齢と身長と髪の毛の長さくらい?


年齢と身長なんて勝ちたくないし。


臨と並んでいると、自分がみじめになる。


しかも、臨は年上からモテるのだ。


こんなの、付き合ってらんないじゃん。





私の苦しみも知らずに臨は今、目の前にいる。


「はい、これ」


ピンクのリボンがかかった小さな茶色い箱を手に、


大きな目を私に向けて、


私の大好きな臨が


目の前にいる。


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