冬恋物語-Winter love-

・ストロベリーな彼





□■□■


細見は学校一の不良であり、


学校一の甘党だ。


多分。


「フルーツサンドとイチゴオレ」


今日もヤツはそう言って、鋭い切れ長の目をこちらに向けながら


500円玉を突き出してきた。


「はいはい」


ヤツのパシリはもう慣れた。


ブラックコーヒーや微糖のコーヒーを買ってきたら本気で怒られること、


メロンパンやフルーツサンドなど甘い菓子パンを主食としていること、


イチゴオレが好きなこと。


不良である細見のこんな可愛い一面は、きっと私しか知らないはずだ。


そう思うと、なぜか嬉しくなる。


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