ツギハギの恋
いつもならひなたを引きはがしてベッドから追い出している所だ。


でもさっきのひなたの言葉が胸に引っかかってそんな気にならなかった。

あの時のひなたの言葉がなぜかあたしには痛々しく聞こえた。



何の話をしてたんだろう……。

泣いてるあたしの頭を撫でることすらできなかった?

ひなたの前で泣いたことなんてないのに。




ひなたの腕枕の中あたしはまどろみながら考えていた。

体温にうっすら香る石鹸の匂い。

何だかそれが心地よくてだんだんと意識が遠くなる。



「おやすみミリちゃん」



微かに聞こえたひなたの声に答えることなくあたしは眠りに落ちていった。
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