ツギハギの恋
お姉ちゃんは夕食を用意してくれていたがとても食べられる気分じゃなかった。
代わりにお姉ちゃんは甘いココアを入れてくれた。


あたしはティッシュ箱を片手にさっき起きた出来事を泣きながら一通り話した。


もちろんプーの事も。

プーがひなただった事も。


お姉ちゃんはしばらく黙ってようやく口を開いた。


「ゴスロリちゃんはともかく、ひなたはツクモガミみたいなものだったのかしら」

「ツクモガミ?何それ」

「古い物に魂が宿るってやつ。あたしもよくわからないけど」

「ひなたは……プーは古くなんかないよ」

「だからみたいなものって言ってんのよ」

「あたし、もうひなたに会えないのかな……」



口にするとまた鼻がツーンとして涙が溢れた。


「縫いぐるみが人間に想いを寄せるなんてね……ひなたは人間になってあんたと話せて本望だったんじゃないの」


お姉ちゃんの言葉で更に泣きのスイッチが入る。



「……もう会えないなんてやだ……」



その日の夜、あたしはティッシュ箱を追加して泣き明かした。
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