ツギハギの恋

デリート

翌朝、雨はすっかり上がっていた。

複雑な気持ちで学校に行く仕度をする。


久しぶりに見たひなたは近寄りがたいオーラがあった。



ひなたとまた会えると信じて、ずっと願っていたのに。

それは違う形で巡り会いあたしの心にぽっかり穴を空けた。


学校に行けばひなたに会える……。

でもひなたはあたしのことを知らないし、あたしの知っているアホ犬のひなたじゃない。


ひなたは記憶を無くした…もしくは無くされたのかも知れない。

あれは他人の空似なんかじゃないだろう。

間違いなくひなただった。


とぼとぼバス停まで歩いているとレミが待っていた。

「はよーミリ。……大丈夫?」

「ん、何が?」

「昨日の……。あれ、あたしマジムカついたわ!」

「いいよ。ひなたは……あいつは悪くないから」

「はあ!?何で!」

「たぶん記憶喪失だと思うから」

「はあ!?記憶喪失て!どんだけプラス思考!?意味わかんない!」

「いやいや、記憶喪失なら仕方ない」

「いやいや、むしろこっちがいやいやだわ!何その発想!?ありえないから!」


レミとふざけてたら少しだけ元気がでた。

今日、学校でひなたに会っても号泣なんてしない。
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