ツギハギの恋
一から始めよう……。

そう思ったのは昨日、散々泣いた後の夜更けのこと。

あたしを忘れたひなたでも。
それでもひなたと関わりたいと強く思ったから。


つーか思ったはいいが、実際どう接したらいいか迷って動けない……。




「え?何、どう言うこと?」

静まり返った教室でレミが目を丸くして聞き返す。


「ひなたはあたしを覚えてないの。だからまた一から始めようっつー話よ」


あたしの話にレミとユリは顔を見合わせて尋ねた。


「え、言ってる意味わかんないんですけど」

「……よりを戻すってこと?」

「ちげーし。ひなたはあたしを知らないの。だから初対面からスタートなわけよ」

「はあ!?意味不明!」


これ以上、レミに説明しても無駄だ。

あたしが諦めた直後、ユリが強引なまとめにかかった。

「要するに夢前先輩は記憶喪失でミリを忘れてる、ミリは初対面からもう一度仲良くなって付き合いたいってことかな?」

「そう、そんな感じ」

「ちょいちょい、記憶喪失とか!どんなだよ!?」


爆笑するレミを一瞬、殴りかけた。

確かにそんな嘘くさい話、あたしが言われても信じない。
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