ツギハギの恋
ひとけのない校舎に吹奏楽部の練習する音が響く。

あたしは上履きにはきかえると静かに教室までの階段を上がった。


学食まで財布はあった。

そのあと自販機でジュースを買った。

で、食堂から教室に帰って財布を鞄に入れた。


ような気がする……。


一人、誰もいない教室に戻ると慌てて机の中を確かめた。

机の中は教科書が入っているだけで財布はない。


マジかよ……最悪。


一瞬、血の気が引いたがあたしは急いで廊下にあるロッカーを開けた。


あったし!
あたしの財布!


体育の後、ジャージと一緒に詰め込んだのを忘れていた。

あたしは安堵してロッカーを閉めるとレミに財布があったことを電話した。



レミはすでにバスの中で、あたしが教室に戻っている間にバスが来てしまったようだった。
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