ツギハギの恋
次のバスが来るまで時間がある。

あたしはふと、思い立って静まり返った校舎の階段を上がった。


3年の階、ひなたのクラス。

ひなたに会えるなんて期待もなく、ただ何となくひなたのクラスを訪れた。


教室には誰もいない。


辺りを確認して教室に入ると昨日、ひなたの座っていた席の前に立った。


ここにいたんだ。


会いたかったな……。


そっと手のひらを机に載せた。

しんみりと感傷に浸っていると背後から平淡とした声がした。


「どいて」



その声に心臓が跳びはね、慌てて振り返る。

マジかよ!
このタイミングで会っちゃうのかよ!


振り返るとそこには無表情のひなたが立っていた。

あたしは固まったままひなたを見る。

やべえ、ドキドキしてきた!

コイツこんな格好よかったか!?


ひなたはあたしにお構いなしで机から教科書を取り出すと鞄に入れた。

あたしは何を話していいか分からず固まっていた。


つーか、ドキドキしすぎてゲロ吐きそう。
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