ツギハギの恋
周りの目から逃れるように体育館前まで来るとあたしは振り返ってひなたを見上げた。

ひなたの制服姿にまだ慣れなくてドキドキする。


ひなたは相変わらず無表情で何を考えてるのか掴めない。


「中田さん……」


あたしの名前を呼ぶとひなたは無表情のまま腕を伸ばして親指を立てたポーズをした。


「サッカーしようぜ」

「英寿じゃねーよ」


「今日は幸楽はお休みですか?」

「角野卓三じゃねーよ!?」


「ハリセンボンの?」

「春菜じゃねーから!!てか全然似てないだろ!?」


ノッてやったがマジ何だコイツ……。

キャラが意味わからん!



「……あの、夢前先輩……もういいですか?真面目に話しません?」

「うん。もういい」



飽きたのかよ!



素の状態からいきなりボケるので真面目なのか冗談なのかよくわからない。

あたしは気を取り直してひなたに話し掛けた。


「メール見たなら返してくださいよ……」

「うん、中田さんの顔見て答えたくて。メールじゃどんな顔するのかわかんないから」


ちょ!

眼差し!!


ひなたにじっと見られて思わず目を逸らした。

ふざけてたと思ったら急にイケメンに戻るのも困る。
< 235 / 288 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop