ツギハギの恋
チャイムがなる前にひなたは行ってしまった。



夢前ひなた……


ハンパねぇ。


噛み合う、合わないの問題じゃない。

そのうちイケメンだけど中身が変だと気付かれて残念なイケメンと言われるに違いない。

てか言われろ。


チャイムが鳴り、少し遅れて教室に入ると先生はまだ来ていなかった。

あたしに気付いてレミとユリが近寄る。


「おかえりー。夢前、何だって?」

「うん、まぁ……」

「先輩なんか雰囲気変わったね?前に見た太陽くんのイメージと違う」




ちょうどその時、先生が教室に入って来てあたしらはそれぞれの席に散った。


ユリの言葉にあたしは何も言えなかった。


ユリから見てもひなたの雰囲気の違いは明らかなんだな……。


記憶を無くしてからのひなたは表情がまるでない。


人形みたいに冷たい。




無邪気に笑っていたひなたが懐かしい。
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