ツギハギの恋
昼のチャイムが鳴ると教室は一瞬にしてザワザワ賑わう。

教室を出る前にレミとユリがあたしに声をかけた。



「んじゃ、あたしら学食行くよ?」

「夢前先輩いなかったらおいでね」

「うん。行ってらっしゃい」


レミ達を見送り、教室を抜けるとあたしは学食に行くのをやめて、一人3年の教室に向かった。


3時間目にひなたに『お昼ご飯いっしょに食べませんか?』と言うメールを送ったが返事がなかったからだ。


つーか何であいつ無視すんだよ!

基本、メール無視か!



ひなたのクラスまで行くとこっそり教室の中を窺った。

3年のクラスってだけでも少し緊張する。


入り口でこそこそ様子を見ていたら教室にいた3年の男子生徒から声をかけられた。


「誰さがしてんの?」

「あの、夢前先輩います?」

「夢前?」


男子生徒は教室を見渡すと隣にいた友達に声をかけた。


「お前、夢前知ってる?」

「あー出てったんじゃね?あいつ昼飯ん時、教室いないし」


男子生徒はあたしに顔を向け直し答えた。


「ごめん、夢前いないみたいだわ」

「あーわかりました。ありがとうございます」


あたしは礼を言うと足早にその場をあとにした。


教室にいないなら何処だよ……。

て言うか、何故メールを返さない!?
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