ツギハギの恋
ひなたの鎖骨にある黒子。


あれはひなたがプーだった頃のもの……。



プーを机に置いて宿題していたら油性ペンがプーにうっかり付いてしまった。


あたしはそれで当時、凄くショックを受けた。

お気に入りのぬいぐるみに油性ペンの黒い点が付いた。
洗ってもとれなかった。



それが今でも、黒子として人間のひなたにある。



こんな形で残っていたんだと思うと胸が締め付けられた。


あたしのだ……。

あれはあたしのものって印し。


どうせならフルネームで名前でも書けばよかった。


黙ってひなたを見ているとあたしに気付いてひなたが声をかけた。



「中田さんどうしたの?」



今のひなたとの距離感が歯痒い。

誰かにとられたくない。
< 243 / 288 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop