ツギハギの恋
止まらない涙。


それが愛ゆえなのか

それとも単なる独占欲か

あたしにもよくわからなかった。


地下街のトイレで泣くだけ泣いたあたしはただ放心状態に近かった。

化粧を直すどころじゃなかった。



胃が痛い……。


もう化粧はいい。

早く帰ろう。


諦めたあたしはようやくトイレを出て地下街を駅の方向に歩いた。

人通りは相変わらず。

しばらく歩くと不意に声が聞こえた。



「ねーねー、今から帰るの?」


背後からの声に振り返るといかにもチャラそうな男がニヤニヤして立っている。

いつもならシカトだったが今日のあたしにはどうでもよかった。



「あたしお腹すいてんだけど……何か食べさせてくれんの?」

「マジで?腹へってんだっら飯行こーよ?」



本当にどーでもよかった。

どうにでもなればいいんだ。


もうどーでもいいマジで。
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