ツギハギの恋
食事が出来るとあたしはひなたにも餌をやる為に部屋に向かった。

ひなたはまだベッドに丸まって寝ている。


起こさないでこのまま寝かしといた方がいいかも。



ほっといてお姉ちゃんとリビングで食事をしているとしばらくしてひなたがトタトタやって来た。


「ワン!ワン!」


餌をしまってある棚に吠えたのであたしは箸を置き仕方なく席をたってひなたに餌をあげる。

餌にガッつくひなたを眺めながらお姉ちゃんはあたしに怠そうに尋ねてきた。


「その犬、名前なんだっけ?」

「ひなた!覚えてよ!ボケてんの!?」


さっきのこともありお姉ちゃんにキツく言い返す。
お姉ちゃんはそれをサラリと無視して会話を進めた。


「あんたサークルとか必要ないの?部屋で放し飼いするつもり?」

「ひなたには必要ないよ」

「トイレのしつけしないとその辺にするんじゃないの?」

「大丈夫……トイレのしつけは出来てるみたいだから」


当たり前だ。

人間のトイレを使うくらいだ。
犬であって犬じゃない。


お姉ちゃんは席を立ってひなたに近寄るとひょいと抱き上げた。


「……これオスね。去勢した方がいいんじゃないの?」

「ギャワン!」


あ、ひなた嫌がった……。


ひなたはバタバタと暴れ、お姉ちゃんの腕からスルリと逃げ出した。
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