私が海に還るまで
彼はそんな私に
冷蔵庫からペットボトルの水を出して
スッと差し出した
「サキ……だよね?」
遠慮がちに私の名前を呼ぶ
「知ってるの?」
ペットボトルを受け取りながら不思議そうに訪ねる私に
彼は困ったような笑みを返しただけで
「俺は……シュウ」
自分の名前を教えてくれた
(シュウ……シュウ…)
私は頭の中で教えられた名前を反芻した
それはとても響きがよくて
私の中に溶け込んでいった