私が海に還るまで
その後、会話もなくなりいつしか眠っていた私は、心地よく響いていた車のエンジン音の停止と共に目を覚ました
「着いたぞ」
男の呼びかけにシュウがドアを開け
続いて外に出る私の鼻にツンと刺激が広がる
そして目の前はただただ真っ暗で
その暗い部分すべてが海なのだと説明されびっくりした
(これが海……)
暗くて見えないけれど
匂いと
ザザン ザザンと繰り返される波の音
シュウとコンクリートの階段に腰を下ろし海を感じていた
何もしゃべらないシュウに少し不安を感じたけど、そのまま私も黙って傍にいた