私が海に還るまで



長いこと二人で海を見ているとだんだんと東の空が白く明けてきた



「おい、そろそろ行くぞ!」



痺れを切らしたように男が車の中から叫んで



するとシュウはゆっくりと立ち上がり、カバンの中から例の写真を出すとライターで火をつけた



写真は火をつけた下のほうからチリチリと燃え始め



あっというまに写真は真っ黒な灰に変わった



シュウはギリギリまでそれを持ちながら海へゆっくり歩いて最後はそれを投げ捨てた




しばらくの間灰が溶けた海を見ているシュウを見ていた





朝が近づいてるとは言えまだ周囲は暗く私はなんだかシュウがそのまま海に溶けてしまいそうなイメージを思い描いてしまい



慌てて後を追い後ろからそっとシュウのシャツの裾を掴む




するとシュウはフッと見下ろしてやさしく笑ったので離れていたシュウの意識が戻ってきた事にホッとしたのを覚えている



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