私が海に還るまで
翌週の日曜
朝、早くの新幹線に乗って生まれ育った町へ向かった
その日は雨が降っていた
故郷の駅に着く頃には昼を過ぎていた
駅を出ると適当な店でシュウは花を買った
リンドウ、菊などが手際よく店員の手により包まれ、私は初めてシュウの家に入った時、鼻先をかすめたツンとした匂いを思い出した
花束と傘を持ちシュウとタクシーに乗り込む
シュウは行き先を私に一言も告げなかったけど、私は大体わかっていた
シュウがこの静かな寂れた町を忘れられない理由は一つしかない
あの海で燃やした写真の女性
シュウを産んだ人