私が海に還るまで




翌週の日曜





朝、早くの新幹線に乗って生まれ育った町へ向かった



その日は雨が降っていた








故郷の駅に着く頃には昼を過ぎていた



駅を出ると適当な店でシュウは花を買った




リンドウ、菊などが手際よく店員の手により包まれ、私は初めてシュウの家に入った時、鼻先をかすめたツンとした匂いを思い出した





花束と傘を持ちシュウとタクシーに乗り込む



シュウは行き先を私に一言も告げなかったけど、私は大体わかっていた






シュウがこの静かな寂れた町を忘れられない理由は一つしかない



あの海で燃やした写真の女性



シュウを産んだ人













< 43 / 79 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop