私が海に還るまで



「一緒に遊ばない?」



その人は綺麗な手を幼い私に差し出す



私は無言で首を横に振った


ジッと見つめたまま




何故かその人から目が離せない



さっきまでまばらに聞こえていたセミの声は止んでいて


辺りは不思議なくらいシンと静まり返っていた





彼は少し困ったように笑って



「欲しい物なんでも買ってあげるよ?」



(欲しいものなんてあまりない)



遊ぶ約束だってしてるし



パパもママも妹のみぃちゃんも大好き



パパはお休みの日にはお出かけに連れて行ってくれて、ママは私の誕生日には必ずケーキを焼いてくれる


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