スカーレット
3・薬
奈津子が帰った後、私は自分の机を漁った。
中には文房具や化粧品、プリクラなどが納められている。
はっきり言って、ゴチャゴチャ。
右下の一番大きい引き出しを開けると、四つ折りにされた紙が不自然に、隠すように入れられているのを見つけた。
紙は二枚重なっている。
開いてみると、どちらも処方箋の説明書だ。
その時、部屋の外で足音が近づき始め、慌てて紙を折り直す。
ドアが開き、派手な化粧に派手な服の母が顔を覗かせた。
これから出勤だろう。
「紀子ー? お母さんもう出かけるわね」
「あ、うん。あたしももう帰るから」
折り直した紙をバッグに詰めて、私は母と家を出た。
本来なら、一緒に出勤でもしていたのだろう。
接客の仕方さえ覚えてない今の私は、きっと足手まといになるだけだ。
「いってらっしゃい。頑張ってね」
「ありがと。かっちゃんによろしくね」
「うん」