スカーレット
「参考になるかしら」
テーブルに置かれたのは、一つの封筒。
差出人は消費者金融だった。
既に開封されている。
「サラ金の請求書? あたし、借金してたの?」
もしかして、借金を苦に自殺を図ったとか?
慌てて内容を確認する。
しかし、借り入れた金額は50万円ほど。
大手の消費者金融ということもあり、金利も普通だ。
大した金額じゃないし、これが自殺の要因とは考えにくい。
というか、50万ぽっちで死ねるか。
母は次のアイテムを差し出してきた。
「これ、紀子の通帳よ」
繰り越しをしてまだ間もない通帳を1ページ目から開く。
メモの欄に月に一回「給与」と書かれていることから、私はつい最近まで会社に勤めていたことがわかった。
しかし「給与」が振り込まれているのは7月まで。
「ねえ。あたし、どんな仕事してたの?」
「コールセンターで電話を受けてたわ。契約社員だったけど」