スカーレット
クスクス笑いながら話す勝彦。
彼との出会いは、恥ずかしい日常のワンシーンだった。
「でも、お母さんは店で出会ったって……」
「紀子がその経緯を隠したがったんだよ。怒られるからじゃないかな。店に入ったら普通に初めましてって言われた」
「あはは、なんかごめん」
懐かしそうに話す彼の顔は優しくて、こんな間抜けな私を愛してくれる。
やっぱり、悲しい過去は隠しておこう。
そう思った。
次の日曜日、奈津子に実家へ来てもらった。
理由は、私の借金の理由を探るため。
親友である彼女なら、色々知っていると思った。
呼び鈴が鳴り、仕事が休みの正樹が玄関へ向かう。
数分後、私の部屋へ二人でやってきた。