スカーレット

「ごめんね、わざわざ来てもらって」

「いいのよ。何か聞きたいことがあるってことでしょ?」

 さすが親友。

 よくわかってらっしゃる。

 なぜか正樹も部屋に居座る。

 何?

 一人じゃ寂しいの?

 彼も何か情報を握っているかもしれないし、追い返す理由はないだろう。

「あたしね、自分のこと色々調べてたの」

 奈津子と正樹が一瞬目を合わせた。

 視線はすぐに私に帰ってくる。

「何か思い出した?」

「ううん。でも、色々わかったの」

「色々?」

 頷くと、また二人が目を合わせる。

 この二人、仲が良いのだろうか。

「あたし、自殺未遂だったんだよね」

 二人は再び顔を合わせ、神妙な顔になった。


< 60 / 110 >

この作品をシェア

pagetop