スカーレット
6・彼




「ただいま」

 勝彦は今日もそう言って私を抱きしめる。

 ふわっと甘い香りがする。

 香水を使わない彼の、自然な香り。

 私を幸せにする、彼自身の香りだ。

「おかえり」

 私がそう言うと優しいキスをくれる。

 甘いキス。

 彼はきっと、砂糖か何かでできているんじゃなかろうか。

 そう思ってしまうくらい、彼は甘さを私にくれる。

 甘やかしてくれるし。

 そんな勝彦が、私は好き。

 大好き。

 愛してるんだと思う。



 だから、本当のことを知りたい。


「かっちゃん、話があるの」


 
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