スカーレット

 本当に付き合ってたんだよって言ってほしい。

 私の推測なんて全部ひっくり返してほしい。

 だんだん紐解かれてきた私の過去がどんなものであっても、彼が私の恋人であってほしい。

 だけど、彼から放たれた言葉は……。

「ごめん」

 嘘を、認めるんだね。

 付き合っていたのは、嘘だったんだね。

 涙を堪えることはできないみたい。

「どうして……?」

 グスッと鼻をすすると、彼の腕が私から離れた。

 温かかったところがヒヤッとして、なんともいえない寂しさが全身を駆け巡る。

 勝彦はそのまま私の体を180度回し、対面させた。

 この情けない泣き顔を晒すことになる。

 隠すように俯き、自分の指で涙をすくうと、今度は正面から抱きしめてくれた。

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