スカーレット
私の言葉を聞いた勝彦は一旦体を離し、真剣な顔で私を見る。
手は私の両肩にそえられ、そこから熱が伝わってきた。
「もう一度、チャンスをくれないかな」
「え?」
「紀子、俺と付き合ってほしい。もちろん……結婚を前提として」
「え……?」
嘘をついた勝彦と、一旦離れるのがケジメだと思っていた。
だけど、勝彦はもう一度告白することで私とやり直そうとしている。
「今の紀子の、正直な気持ちを教えて」
「今」の私の、正直な気持ち?
そんなの、そんなの……。
「かっちゃんが好きだよ」
離れたくないに、決まってるのに。
ああ、私、嘘をつかれたことがショックで意地を張っていたんだ。
「だったら……実家に帰るなんて言うなよ」
「ごめん……」
もう一度強く抱きしめてくれた勝彦と、何度もキスをした。
キスだけじゃ足りなくなって、その場で求め合った。