スカーレット
この日はお昼から買出しに行こうと、着替えて化粧をしていた。
頭が一旦リセットされても好みはあまり変わらないようで、私は旧・紀子と同じく派手好きらしい。
濃いくらいの化粧が好き。
少し凝ったデザインの服が好き。
料理をするからネイルだけはやめた。
それと、旧・紀子は喫煙者だったらしいが、記憶がなくなったのを機にそれもやめた。
手荷物のバッグに勝彦の通帳を詰め込もうとしたとき、四つに折りたたまれた紙の存在に気付く。
先日わかったことをまとめたレポート用紙だ。
もう今更関係ない。
全て終わったこと。
そう思い、開かずにクシャッとして一旦ゴミ箱へポイ。
だけど最後にもう一度という気が働き、ポイしたそれを拾い上げた。
そう、それが間違いだった。