スカーレット
紙を眺めていて、私は気付いてしまった。
書き込みはあるが事はほとんど動いていない6月。
6月の欄にはこう書かれている。
「6月、リストラに遭い、角田一郎に騙されたことが発覚」
書かれているから初めは気付かなかった。
リストラに遭った。
それは結構大きな出来事。
それはそれでいい。
問題は角田一郎に騙された部分。
それに「気付いた」のが6月。
実際に騙されたのは金を渡した5月のはず。
じゃあ、6月の間、私は彼とどう接してきたのだろうか……。
私はこの問題に気付くべきではなかった。
探るべきではなかった。
そして、知るべきではなかった……。