ヤバいくらいに溺れてる
「『面倒くさいから、下着はつけてくんなよ』だっけ? 下心丸出しの男にあんたもよく足を開けるもんだよな。彼女のいる男に、どんな魅力があるんだか? 愛されてないってわかってる男に、抱かれて何がいいんだよ。意味がわからねえ」

ワンピースをハンガーから外すと、あたしはハンガーを陽向に向かって投げた

「な…何すんだよっ」

頬すれすれで、ハンガーをよけた陽向が怖い顔をして、立ち上がる

身長180センチはありそうな大きな体が、あたしを見下ろしてくる

さすがモデル業をやっているだけある

身長もあるし、手足の筋肉も程よい感じである

ちょっと力を入れるだけで、筋肉の筋が見えてそれだけでドキっとしてしまいそう

…て、あたしは別にドキってしないわよ!

こんなガキに、ときめいたりなんてしないんだから

普通の…一般的な女なら、たぶん陽向みたいな男に惚れるのよ

モデルで人気があるってことはそういうことよね

惚れるから、ファンが増えるわけで、ファンが増えるから仕事量も増える

「下心がわかってるから、付き合いやすいのよ! 男なんて浮気する動物でしょ? 本気になって、独占欲をむき出しになるような女になんてなりたくないのよ。それなら、二番目だろうが、三番目だろうが、ヤリたいときに会う楽な関係のほうがいいじゃない」

「ふうん」

陽向が、口の端を持ち上げると馬鹿にしたような笑みを浮かべた

「何よ。文句があるわけ?」

「べつにぃ」

「だから何なのよ。勿体ぶった言い方しないでくれる? そういうのって見てて、すんごい苛つくのよ」

あたしの言葉に、さらに馬鹿にしたような陽向の笑みが崩れる

「言いたいことがあるなら言いなさいよ」

「言っていいんだ」

「言えばいいでしょ。言わないで、ため込まれるよりいいのよ」

陽向が一歩二歩と近づいてきた
< 11 / 62 >

この作品をシェア

pagetop