ヤバいくらいに溺れてる
「言われなくてもやるよ!」

陽向が、ノートに目を戻した

あたしの部屋に、静けさが戻ると、あたしは雑誌をまた読み始めた

ばさっと開いたページには、『最近の男子は草食系』というタイトルで、どーんっと陽向のまばゆいばかりの笑顔が載っていた

「うわっ」

思わず声が出てしまうと、陽向の顔がこっちに向くのがわかった

「なんだよ」

「『今回は草食美男子として有名なモデルの陽向さんをゲストに、恋愛話をがっつり聞いちゃいましょー』だって」

「ああ?」

あたしが読み上げた文章に、陽向が不機嫌極まりない声をあげた

「雑誌だよ」

「インタビューを受けたような気がする」

陽向が首を傾げながら、答えた

「恋愛話をがっつりねえ~」

「一般的な受け答えしかしてねえよ」

「ふうん」

あたしはうつぶせになって雑誌を読み始めた

どんなことが書いてあるのか、ちょっと気になる

「だから、読むなっつうの」

ベッドにすすっと近づいた陽向が、あたしの手から雑誌を奪い取った

「あ…」

「ファンが喜びそうな言葉しか書いてねえよ。あんたが読まなくてもいいんだよ」

「なんで、あたしは読んじゃ駄目なのよ」

「いいんだよ。読まなくて」

「だからどうして?」

「ここに書いてある恋愛は、俺の恋愛観じゃねえからだ」
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