近未来拡張現実エンタメノベル『MIKOTO-The Perfect PROGRAM』
☆ワンダーラスト
17歳の少年が、俺の手によって殺された。ひとり目だ。
彼はフルフェイスヘルメット状の、ヘッドマウントディスプレイを頭に被り、マンションの5階から全裸で飛び降りたそうだ。
彼は俺と知り合いですらなく、一切の接点を持たず、
でも俺に殺されたのは明白だった。
あの頃、俺はゲーム制作の仕事をしていた。
いつか世界を救うぐらいのゲームを考えてやる、そこまで本気で思ってた。
だが現実はどうだ。
俺は、人類を滅亡に追いやるゲームを生み出してしまったんだ。
最後の力を振り絞り、社長の携帯に電話をかけ、第一声で俺は叫んだ。
「MIKOTOを回収してください!早く!!」
その時から俺の記憶と意識は、闇の中で途絶した。
きっと心が耐えられなくて、自分を自分まるごと、自分の深い場所に沈めてしまったんだと思う。
意識が回復したのは5年前。
宇宙の果ての暗闇の一点から、ビッグバーンでも起こる勢いで、白い世界が広がった。
気づけば俺は、しまなみ海道で、自転車を漕いでいた。
17歳の少年が、俺の手によって殺された。ひとり目だ。
彼はフルフェイスヘルメット状の、ヘッドマウントディスプレイを頭に被り、マンションの5階から全裸で飛び降りたそうだ。
彼は俺と知り合いですらなく、一切の接点を持たず、
でも俺に殺されたのは明白だった。
あの頃、俺はゲーム制作の仕事をしていた。
いつか世界を救うぐらいのゲームを考えてやる、そこまで本気で思ってた。
だが現実はどうだ。
俺は、人類を滅亡に追いやるゲームを生み出してしまったんだ。
最後の力を振り絞り、社長の携帯に電話をかけ、第一声で俺は叫んだ。
「MIKOTOを回収してください!早く!!」
その時から俺の記憶と意識は、闇の中で途絶した。
きっと心が耐えられなくて、自分を自分まるごと、自分の深い場所に沈めてしまったんだと思う。
意識が回復したのは5年前。
宇宙の果ての暗闇の一点から、ビッグバーンでも起こる勢いで、白い世界が広がった。
気づけば俺は、しまなみ海道で、自転車を漕いでいた。