婚約指輪を君に~恋した相手は17歳の王子様!?
指輪を返して!
どうしよう
どうしよう
どうしよう!!
あたし
あんな子供ととキス・・しちゃったよ
思わず許してしまった唇に手を当てる。
甘い囁きが頭に残って離れない。
あたしを押さえつける力も体にしっかり残ってる。
「あたし、どうしちゃったのよ」
会社の化粧室に零れたあたしの独り言。
鏡に映るあたしは昨日とは違ってどんより顔。
今日は午後一でお客様の所に行かなくちゃいけないのに。
こんな顔じゃあ客どころか仕事場にも行けないって。
「はぁ~」
出るわ出るわ、さっきからため息が。
こうしてあたしの幸せはどんどん逃げていくのね。
その結果がこれなのかな。
蛇口に手をかけると、まだあたしの左手に指輪がキラキラしている。
「指輪・・絶対に外すなよ」
そう言ってあたしのアパートから出て行った息子。
どうやらこの指輪はヤツがはめたらしい。
外すなって言ったって
仕事だもの、していけるわけ・・ないじゃない。