婚約指輪を君に~恋した相手は17歳の王子様!?
やってしまったと思った時はすでに遅いけど。
だけど後悔なんてしてない。
本当はもっとぶったたきたいくらいだもん。
「あ、あおい?」
叩かれた頬を抑えながらあたしを見る慧。
どうしてそんな顔するのよ?
どうしてそんな傷付いた顔ができるの?
痛いのはあたしなのに。
泣きたいのはあたしの方なのに。
「葵?」
ガーっと自動ドアが開いたのと同時に聞こえた響汰の声。
「どうした?」
この異様な空気に気付いたのかあたしの顔を覗き込んでくる。
「何でもない」
そう、もう何でもない。
これでもう慧とは終わりなんだから。
「行こう」
響汰の腕に手を置いてマンションを出て響汰の愛用の車に乗り込む。
きっとこれで二度と関わって来ないはず。
これでいいんだ。
あたしは何も悪くないんだから。
会社ももう辞めよう。
そして響汰と・・ってでも
でもその前にしなくちゃいけない事がある。
「あのね、響汰」