婚約指輪を君に~恋した相手は17歳の王子様!?


車を走らせる響汰の方を向くと

「どうした?」


こちらを見てないけど明るい声が返ってきた。



どうか嫌われませんように・・なんて
都合がいいことは分かってるけど。


でもそれでもあたし


響汰と離れたくない。

「どうした?」

言え、言うんだ!葵!!

「あのね・・指輪・・」

言った、言ってしまった・・

あぁこれでもう後には引けなくなった

そう思ってぎゅっと目をつぶった時


「あぁ指輪ね、忘れてたよ」
「へ?」


車を丁寧に道路脇に止めると紺色のジャケットからあの時貰った
指輪を取り出した。


え?

「実はさ、あの時一度抜いて持って帰ったんだ。」


慧が持ってたんじゃなかったの?


「ほら、前に一度ペアリング失くした時あったろ?あれ思い出してさ」

「そう・・だったんだ」


慧じゃなかった。

響汰の指輪を持ってたのは

慧じゃなかった。


慧は何も悪くなかった。


「そう言えばさ、あの後ちゃんと部屋まで入れた?」

「入れたって」

どういう

「俺何度も葵を部屋に入れようとしたんだけど。
葵ここでいいって言い張ってさ。」

仕方なく帰ったんだ。




「葵が入れてくれたんでしょ?」



どこまで最低なんだろうあたし。


「降ろして」

「へ?」

「ごめん、響汰。今日は帰る」


ガチャ

「え、葵!」









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