婚約指輪を君に~恋した相手は17歳の王子様!?
どうして?
あたし叩いたのに。
あんなに最低な事したのにどうして此処にいるの?
どうしてそんな笑顔でいられるのよ!!
息を切らしたあたしを見て不思議そうに見る慧が。
「葵?」
何でもなかったのかのようにあたしの名前を優しく呼んだ。
「・・別に好きじゃないから」
「・・?」
「ただ、謝りたくて。ごめんって言いたくて」
「それで?」
「ありがとうって言いたくて」
「それで?」
「それで・・それで」
「俺と結婚したくなった?」
「だからあたし今言ったよね、まだ好きじゃないって」
「じゃあ許さない」
プンっと横を向いて拗ねるその顔に
「ぷっ」
思わず笑みがこぼれてしまう。
「俺、怒ってんだけど」
そんな事言って、ちっとも怒ってるように見えないのはあたしだけ?
「でもまぁ、葵が笑ってるからいいや」
さっきまでの拗ねた顔は何処へやら・・
今度は満面の笑顔であたしに笑いかける。
可愛いなんて言ったら怒るかな?
でもこんな顔が見られるなら
意外と年下も悪くないかもしれない。
そう思いながらあたしも笑顔で笑い返した。